6月から、週末の午後は、可能な限り駅茶(駅長室)を開けるようにしている。駅舎を訪れる人に、中を覗いてもらいたいとの気持ちである。いろいろな方が訪ねて来てくれるが、そんな中に、おふくろさんを連れて来られたご家族がおられた。話を聞くと、おふくろさんは長井市西根出身で、高校時代に成田駅から南長井駅まで通ったのだという。今、西根の実家には誰もいなくなり、お墓も東京に移すのだという。
ひとしきり想い出談議に花を咲かせての帰り際、「お母さんの想い出の場所を守っていてくれてありがとうございました。」と、娘さんが丁寧に頭を下げられた。故郷の家やお墓がなくなる時代なのだという寂しさと共に、この駅舎の風景を、母娘が想いを重ねて眺めていることに深い感動を覚えたものです。
停車場憧憬 それは母の人生を想う旅